CCNA対策 12回目 [ダイナミックルーティング-OSPF-]

・OSPF[Open Shortest Path First]とは

TCP/IP NW で用いられるルーティングプロトコルで、現在の主流になっています。

リンクステート(意訳:リンクしている状態)型のプロトコルで、

全ルータがNWトポロジー([topology]位相幾何学のこと。ルータを結んだ線や点についてのモデルのこと)を把握して、その情報から経路制御を行います。

最短経路優先([Shortest Path First])アルゴリズム(要はやり方の意)からコストが最小限になるよう(これをダイクストラという)な経路を使用します。

 

<メトリックとコスト>

メトリック[metric](測定基準、距離、などの意味を持つ英単語。、CPU使用率やメモリ使用量、ストレージやネットワークのデータ転送量などの測定値を指す)は小さいほど早く通信できると判断されます。

RIPはポップ数で判断していたのに対してOSPFは帯域幅から宛先までの回線コストの総和が最小になるパスを選択します。回線コストは回線速度に反比例した式で算出されます。

式)回線コスト=100Mbps÷回線速度

コストが同じ場合、負荷分散されます。

<NWの階層化>

ルータ台数が多くなり、トポロジー情報が多くなると演算量も増加するので負荷が増大します。

そのため、「エリア」ごとのグループに分けて管理します。

このエリア内にそれぞれ一つずつ選出されたルータを代表ルータ(DR[Designated Router])といいます。

このエリア内に一つずつバックアップ用のバックアップ代表ルータ(BDR[Backup Designated Router])もあります。

エリア分割の際に「バックボーンエリア」とそのほかに分けて階層化します。

各エリアは必ずバックボーンエリアに接続されています。

このバックボーンエリアと各エリアの境界にあるルータをエリア境界ルータ(ABR[Area Border Router])といいます。

そのほか、ASの境界同士を接続するルータをAS境界ルータ(ASBR[AS Boundary Router]例えばRIP運用しているルータなど)といいます。

 

・エリアについて

「バックボーンエリア」「標準エリア」「スタブエリア」「トータリースタブエリア」「NSSA(Not-So-Stubbyエリア)」「トータリーNSSAエリア」という6種類のエリアがあります。

 

バックボーンエリアは、OSPFの中心エリアです。エリアIDは0(0.0.0.0)になります。バックボーンエリアにアドバタイズ(ルータの情報を周囲に通知する、の意味。アドバタイズ自体ブロードキャスト通信の意味があります)されるLSAは、LSAタイプ1~タイプ5です。

コンバージェンスが速いという言葉が出てきます。コンバージェンスとは、ルータ間で経路情報が十分に行き渡り、すべてのルータが最新の経路を認識している状態を指します。

そしてLSA[Link State Advertisement]というルータ情報を交換して経路情報を把握しています。

LSAには種類があります。

Router LSA:全ルータ…基本のLSA。エリア内にNW情報を伝播。

Network LSA:DR…エリア内情報をDR中心にすることでパケット総量削減。

Network Summary LSA:ABR…エリア間のNW情報を伝播。

AS External LSA:ASBR…AS間のNW情報を伝播。

これららはLSAレベル1,レベル2がRouter LSAに

レベル3がNetwork Summary LSAに

レベル4がAS External LSAに対応しており、

レベル5は非OSPFドメインNWアドレスを表します。

バックボーンエリアだけが、あるエリアのネットワークアドレスを表すLSAタイプ3をさらに別のエリアにアドバタイズします。これによってループしなくなります。

 

標準エリアは、バックボーンエリアに接続するエリアを指します。標準エリアには、LSAタイプ1~タイプ5が流れます。

 

スタブエリアは、エリア内に流れるLSAを集約して無駄なトラフィックを減らします。例えばタイプ1の情報がABRを介してスタブエリアへ伝わるとき、タイプ3として伝達されます。この時のNWアドレスはそのまま伝達されます。

ASBRを介してレベル5がスタブエリアに伝わるとき、ABRでタイプ3の情報に集約されます。この時のNWアドレスは個別のルートとしてではなく、デフォルトルートの0(0.0.0.0)として伝達されます。

このように、LSAタイプ3,4,5はABRを通過してスタブエリアに伝わるとき、すべてLSAタイプ3としてルート情報を受信します。さらにタイプ4,5はデフォルトルートとして受信します。

ただ、スタブエリアに直結してASBRの配置はできません。バックボーンエリアを挟みます。そのため仮想リンク設定もできません。また、バックボーンエリアと兼用もできません。

 

トータリースタブエリアはさらに無駄なLSAトラフィックを減らします。

スタブエリアでは、タイプ1のルート情報をタイプ3として伝達されていました。この時のルート情報はそのまま伝わっていました。

しかし、この情報もデフォルトルートとして伝達されるようになります。

 

NSSAはスタブエリアにASBRが存在しているエリアとなります。

タイプ1の情報がABRを介してスタブエリアへ伝わるとき、タイプ3として伝達されます。この時のNWアドレスはそのまま伝達されます。

ただ、NSSAはタイプ4,5が使用できません。そこでタイプ7として独自生成して経路を伝達します。

そのため、ABRを介してタイプ5が伝達された場合はタイプ7として伝達されます。この時デフォルトルートで伝達します。

今回はNSSAにASBRがあります。ここからABRに伝達するにはタイプ7として伝達します。この時NWアドレスなど経路情報はそのまま伝えます。ABRを通過するとタイプ5になります。

 

トータリNSSAはトータリスタブエリアにASBRが存在しているエリアとなります。

ABRを介して伝わる情報はタイプ1でもタイプ5でもすべてタイプ3に集約されます。そして、デフォルトルートとして伝達されます。

トータリNSSAにあるASBRからの情報はタイプ5ではなくタイプ7として伝達します。この時のNWアドレスなど経路情報はそのまま伝えます。ABRを通過するとタイプ5になります。

 

 

参考

CCNA対策から学ぶネットワーク運用ガイド3 ほか